ピンバーだけでFXやバイナリーは勝てるのか?
チャートに現れる「ピンバー」は、初心者にも分かりやすく、ネットでもよく紹介されるローソク足パターンです。
「陽線ピンバー=買いサイン」「陰線ピンバー=売りサイン」と言われることも多いのですが、本当にピンバーだけで勝てるのでしょうか?
今回は、自社開発のインジケーター「ピンバーの極み」を使って、ピンバー直後の勝率を徹底検証しました。
あわせて、「スパイクハイ・スパイクロー」との違いや、本当に使えるピンバーの活用方法も解説していきます。
ピンバーとは
ピンバー(Pin Bar)とは画鋲(がびょう)の様な形をしたローソク足で、FXやバイナリーオプション初心者の方でも視覚的に判断しやすいローソク足のパターンです。
ピンバーの形に明確な決まりは無いのですが、一般的に以下の様な条件がピンバーの形になる条件となります。
- 実体が1に対して
- 短いヒゲが実体の1/3以下
- 長いヒゲが実体3倍以上
- 長いヒゲが全体の2/3以上
陽線ピンバーと陰線ピンバーの違いについて
ピンバーを覚える際にまず覚えて欲しいのが「陽線ピンバー」と「陰線ピンバー」との違いになります。
次項で説明しますが「スパイクハイ」と「スパイクロー」の4パターンを理解しないと、相場を読み違える恐れがあります。
陽線ピンバーの場合の特徴
陽線ピンバー(Bullish Pin Bar)は、価格が一度下がったけど、最終的に強く買い戻されたローソク足 のことです。
一度売られた後に、買い戻された(上がった)こともあり「ここから上がる」と言うサインになります。
その為、陽線ピンバーが出た後は「買いサイン」になります。
下ヒゲ | 長い(下に一度大きく動いた) |
---|---|
実体の位置 | ローソク足の上部に実体 |
上ヒゲ | 短いかほとんどない |
陰線ピンバーの場合の特徴
陰線ピンバー(Bearish Pin Bar)は、価格が一度上がったけど、最終的に強く売られたローソク足のことです。
一度買われた後に、売り込まれた(下がった)こともあり「ここから下がる」と言うサインになります。
その為、陰線ピンバーが出た後は「売りサイン」になります。
上ヒゲ | 長い(上に一度大きく動いた) |
---|---|
実体の位置 | ローソク足の下部に実体 |
下ヒゲ | 短いかほとんどない |
ピンバーと「スパイクハイ」と「スパイクロー」とは異なる
ピンバーとスパイク
ピンバーを覚える際に混乱の素になるのが「スパイクハイ」と「スパイクロー」になります。
「スパイクハイ」や「スパイクロー」は「陽線ピンバー」や「陰線ピンバー」に比べると条件が緩いので、場合によってはスパイクとピンバーが同じ形になる事もあります。

初めの内はごちゃごちゃになりやすいので、まずは「陽線ピンバー」と「陰線ピンバー」の形を覚える事をおすすめします。
スパイクハイ
スパイクハイは、一度ぐっと高値をつけたあとにすぐ下がって終わるローソク足です。買いの勢いがあってもすぐに売られたため、そこから下がるサインになることがあります。
ヒゲの特徴 | 上ヒゲが非常に長い |
---|---|
実体の位置 | 問わない |
ローソク足の色 | 陽線でも陰線でもよい |
意味・サイン | 売りサイン |
出現する位置 | 上昇の直後、高値圏やレジスタンス付近 |
スパイクロー
スパイクローは、一度大きく下がって安値をつけたあと、すぐに強く戻して終わるローソク足です。売りの勢いがあってもすぐに買い戻されたため、そこから上がるサインになることがあります。
ヒゲの特徴 | 下ヒゲが非常に長い |
---|---|
実体の位置 | 問わない |
ローソク足の色 | 陽線でも陰線でもよい |
意味・サイン | 買いサイン |
出現する位置 | 下落の直後、安値圏やサポート付近 |
ピンバーだけで取引するとどうなるのか?自社開発インジケーターで調べてみた
ピンバーの極み
ピンバーはその性質上、「陽線ピンバーであれば買いサイン」、「陰線ピンバーであれば売りサイン」となります。

その理論が正しいのであれば、陽線ピンバーが出た後「ハイエントリー」、陰線ピンバーが出たら「ローエントリー」をすれば、少なくとも勝率5割は超えるはずです?
そこで自社開発インジケーター「ピンバーの極み」でピンバーの後の足が本当に言われている通りになるのか調べてみました。
自社開発インジケーター「ピンバーの極み」について
ピンバーの勝率を調べる為に、専用のインジケーター「ピンバーの極み」を開発しました。
ピンバーの極みは「陽線ピンバーが発生すると上矢印(買いサイン)」「陰線ピンバーが発生すると下矢印(売りサイン)」を表示します。
サインが出た足の次の足を勝敗基準としており、買いサインが出た次の足が陽線であれば勝ち、陰線であれば負け、売りサインが出た次の足が陰線であれば勝ち、陽線であれば負としてカウントしています。
カウントした勝敗は画面左上のテキストボックに表示されます。本数も指定する事ができるので、知りたい数年分のデータを測定する事が出来ます。
※本数指定をしない場合、全足が対象になります。
勝敗ボタンを押すと、矢印が出たローソク足に勝敗マークを付ける事が出来ます。
陽線ピンバーの次の足が陽線の場合は「○」、陰線の場合は「×」マークが付き、陰線ピンバーの次の足が陰線の場合は「○」陽線の場合は「×」マークが付きます。
アラートボタンを押すとピンバーにサインが付くと同時にアラートを出すことが出来ます。

ピンバーの極みは「MT5」専用のインジケーターになっています。ピンバーをメインで取引されている方は、ピンバーの極みを是非ご活用下さい。
ピンバー直後の勝率を徹底分析
勝率を徹底分析
ピンバー直後のローソク足でエントリーするとどうなるのか?、人気の5通貨ペアで検証してみました。

先に結果から言うと、勝率が5割を切っています。
- 米ドル/円(USD/JPY)
- ユーロ/米ドル(EUR/USD)
- 豪ドル/円(AUD/JPY)
- 英国ポンド/円(GBP/JPY)
- ユーロ/円(EUR/JPY)
今回検証した通貨ペアはFXやバイナリーオプションで人気の通貨ペアになります。
※計測は約3年分で行っています。
時間足 | 1日あたりの本数 | 3年分の本数 | 備考 |
---|---|---|---|
M1 | 1440 | 1,088,640 | 1日=24時間×60分 = 1440本。×252営業日×3年で算出。 |
M5 | 288 | 217,728 | 1日=24時間×12本(5分足) = 288本。×252日×3年。 |
M15 | 96 | 72,576 | 1時間に4本、1日24時間→96本。×252営業日×3年。 |
M30 | 48 | 36,288 | 1時間に2本、1日24時間→48本。×252日×3年で算出。 |
H1 | 24 | 18,144 | 1日24本(1時間足)。×252営業日×3年=18,144本。 |
D1 | 1 | 756 | 1営業日=1本。252営業日×3年 = 756本。 |
ピンバー直後の勝率(検証結果)
結果発表

ピンバー直後の勝率を徹底的に調査しています。
米ドル/円(USD/JPY)ピンバー直後の勝率
時間足 | 判定本数 | 勝ち | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|
1分足 | 1088640 | 33764 | 38273 | 46.90% |
5分足 | 217728 | 7580 | 8009 | 48.60% |
15分足 | 72576 | 2486 | 2676 | 48.20% |
30分足 | 36288 | 1242 | 1394 | 47.10% |
1時間足 | 18144 | 652 | 641 | 50.40% |
日足 | 756 | 27 | 23 | 54% |
ユーロ/米ドル(EUR/USD)ピンバー直後の勝率
時間足 | 判定本数 | 勝ち | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|
1分足 | 1088640 | 39042 | 36090 | 47.40% |
5分足 | 217728 | 7622 | 7625 | 48.00% |
15分足 | 72576 | 2475 | 2771 | 47.20% |
30分足 | 36288 | 1231 | 1330 | 48.10% |
1時間足 | 18144 | 605 | 690 | 46.70% |
日足 | 756 | 34 | 19 | 64.20% |
豪ドル/円(AUD/JPY)ピンバー直後の勝率
時間足 | 判定本数 | 勝ち | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|
1分足 | 1088640 | 33807 | 38364 | 46.80% |
5分足 | 217728 | 7476 | 7911 | 48.60% |
15分足 | 72576 | 2461 | 2765 | 47.10% |
30分足 | 36288 | 1208 | 1367 | 46.90% |
1時間足 | 18144 | 652 | 643 | 50.30% |
日足 | 756 | 20 | 21 | 48.80% |
英国ポンド/円(GBP/JPY)ピンバー直後の勝率
時間足 | 判定本数 | 勝ち | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|
1分足 | 1088640 | 39042 | 36090 | 47.40% |
5分足 | 217728 | 7622 | 7625 | 48.00% |
15分足 | 72576 | 2475 | 2771 | 47.20% |
30分足 | 36288 | 1231 | 1330 | 48.10% |
1時間足 | 18144 | 605 | 690 | 46.70% |
日足 | 756 | 34 | 19 | 64.20% |
ユーロ/円(EUR/JPY)ピンバー直後の勝率
時間足 | 判定本数 | 勝ち | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|
1分足 | 1088640 | 35716 | 38736 | 47.50% |
5分足 | 217728 | 7596 | 8168 | 48.20% |
15分足 | 72576 | 2480 | 2812 | 46.90% |
30分足 | 36288 | 1264 | 1342 | 48.50% |
1時間足 | 18144 | 676 | 662 | 50.50% |
日足 | 756 | 29 | 23 | 55.80% |
ピンバーの次の足でエントリーすると負ける
負ける
ピンバーが発生したからと言う理由で次の足で取引した場合、勝率が5割を切る事が今回の検証で分かりました。
陽線ピンバー=上昇、陽線ピンバー=下降と言うのは、理屈として通っています。
陽線ピンバーであれば、一度下落した後に上昇していますので、そのまま上昇するのでは無いか?
陰線ピンバーであれば一度上昇した後に下落しているので、そのまま下落するのでは無いか?
心理としては正しいと思います。
しかしチャートを検証すると、陽線ピンバーの後上昇している割合と陰線ピンバーの後下落している割合は、5割を切っています。

無料配布している「ピンバーの極み」を使えば、ピンバー直後の結果を一目で確認する事ができるので、一度ご自身の目で確認される事をおすすめします。
FXやバイナリーオプションを紹介しているサイトの中には、実際に検証することなく「陽線ピンバーの直後は上昇するから勝てる」、「陰線ピンバーの直後は下降するから勝てる」など適当に書かれている物が多くあります。
少なくもピンバーが出た次の足を取引する事は今回の検証結果でNGと分かったので、勝率を上げたい方はピンバーの次の足での取引は避けた方が良いでしょう。
ピンバーの活用方法
活用方法
ピンバーは単体で利用してもあまり意味が無い事が、今回検証で分かったのですが、そもそもピンバーとは単体で利用するものではありません。
ここではピンバーの本来の活用方法をまとめています。
ピンバーは相場の転換の判断材料として使える
ピンバーの活用方法はトレンド転換の判断材料として役立ちます。
画像では、上昇トレンドの中に陰線ピンバーが出現し、その後下降トレンドへと転換しています。
ピンバーが出たから下降トレンドに?
それは無いでしょう。ピンバー単体ではダマシも多く、実際の検証でもピンバー直後にどちらへ動くかは不明なケースが多く見られます。
では、ピンバーはどの様に活用するのか?
ピンバーをうまく活用するには、RSIなど他のインジケーターと組み合わせるのが効果的です。
例えば画像では、RSIが70を超えた場面で陰線ピンバーが出現しています。
RSIが70を超えると「買われ過ぎ」となり相場が反転しやすくなります。そこに陰線ピンバー(売りサイン)が加わることで反転する根拠が強まります。
別の画像では、RSIが繰り返し70を超えています。
RSIが70を超えると、いずれ反転しますが、ピンバーが加わることで、反転のタイミングを捉えやすくなります。
ここで注目すべきは、ピンバー直後の足(次の足)の動きではなく、その後の全体的な流れです。
たとえば2つ目の矢印では、ピンバーの直後こそ一時的に上昇していますが、その後は下落トレンドに転じています。
このように、直後は逆方向に動くこともありますが、結果的にはピンバーの示す方向に動くことも多いのです。
ただし、1つ目の矢印のように、陰線ピンバーが出たにもかかわらず、その後再び上昇するケースも当然あります。
基本は抵抗帯(レジスタンス)・支持帯(サポート)で見る
ピンバーは中間地点で見ると騙しが多いので、基本的には抵抗帯(レジスタンス)や支持帯(サポート)などの高値圏や安値圏で確認するのが基本となります。
実際に高値圏や安値圏で出る事が多くなっています。
画像の場合支持帯(サポートライン)で陽線ピンバーが出ており、支持帯(サポートライン)を反発して上昇しています。
FXやバイナリーのピンバー取引でよくある質問
ピンバーが出たら必ずトレンドが反転するのですか?
ピンバーは反転のサインとされますが、単体ではダマシも多く、実際の検証では反転しないケースも多く見られます。他のインジケーターと組み合わせて判断するのが効果的です。
陽線ピンバーと陰線ピンバーの違いは何ですか?
陽線ピンバーは「買いサイン」、陰線ピンバーは「売りサイン」とされます。陽線ピンバーは下ヒゲが長く、実体が上部にある形、陰線ピンバーは上ヒゲが長く、実体が下部にある形が一般的です。
ピンバーの次の足でエントリーすれば勝てますか?
実際の検証結果では、ピンバーの次の足でのエントリーは勝率が5割を下回っており、安定した勝ちにはつながりません。相場の流れや他の指標と合わせて判断することが重要です。