「短期・中期・長期の移動平均線が綺麗に並ぶ“パーフェクトオーダー”は順張りに最適」と、多くのFXやバイナリーオプションのサイトで紹介されています。ですが、その勝率は実際のところどうなのでしょうか?
気になった私は、検証ツールを開発し、3年分のデータをもとにパーフェクトオーダーの勝率を徹底的に調査しました。
この記事では、検証結果とともに、勝率の落とし穴、抵抗線の重要性、おすすめの設定期間、MT5での導入手順までをわかりやすく解説します。
パーフェクトオーダーとは
パーフェクトオーダーとは「短期」・「中期」・「長期」の移動平均線が全て同じ方向にな並び、且つ順番通りに整列している状態を指します。
上昇パーフェクトオーダー | 短期 > 中期 > 長期(すべて上昇中) |
---|---|
下降パーフェクトオーダー | 短期 < 中期 < 長期(すべて下降中) |

パーフェクトオーダー発生時は、トレンドが発生しており順張りに適しています。
パーフェクトオーダーを狙った順張り手法で「勝てる」と紹介しているFXやバイナリーのサイトが多いのですが、本当に勝てるのでしょうか?

気になったので専用のツールを開発して、パーフェクトオーダーの勝率を出してみました。
パーフェクトオーダーの勝率測定について
パーフェクトオーダーの勝率が一目で分かるオリジナルインジケーター(サインツール)の「パーフェクトオーダーの極み」を開発しました。
「パーフェクトオーダーの極み」ではパーフェクトオーダーが発生するとサインが表示されます。
サインが出た次の足を見て、勝敗マーク(○ ☒)を出しており、下降パーフェクトオーダーでサインが出た次の足が陰線であれば「○(勝ち)」、陽線であれば「☒(負け)」が表示されます。
また、勝敗マークと同時に勝敗もカウントしています。
カウントした勝敗は画面左上のテキストに表示されます。
ツールを開発した理由
パーフェクトオーダー中はトレンドが発生しているので、画像の様に上昇トレンド中であれば陽線が多くなると思ってしまいます。

ここで思いつくの「上昇パーフェクトオーダー中は何も考えず、ハイエントリーを行えば勝てるのでは?」ですよね。
実際のところはどうなのか気になったのでツールを開発しました。

上昇中は何も考えずにハイエントリー!
結論を先に言いますが、この考え方は危険です。このやり方だと勝率が5割を切ります。
パーフェクトオーダーが発生しても、押し目を狙うトレーダーも多くいるのでパーフェクトオーダー中であっても下降する事は当然あります。
また、パーフェクトオーダーが発生したと思ったら、直ぐに逆方向に動く事もあります。それらを踏まえて、順張り時の勝率を計測してみました。
今回の計測はあくまでも、足毎の勝率になります。
例えば国内バイナリーオプションの場合1回の取引は2時間となっています。もし2時間足を見た時にパーフェクトオーダー中であれば、その流れに乗りたいものです。
上昇パーフェクトオーダー中であれば、「ハイエントリー」したい気持ちも分かりますが、その方法が危険である事を今から報告します。
パーフェクトオーダー中の次足の勝率を3年分検証
3年分の勝率
今回検証した通貨ペアは「USD/JPY」「EUR/USD」「AUD/USD」の3種類になります。※計測は約3年分で行っています。
勝敗の判定は「上昇パーフェクトオーダー中であれば、次足が陽線なら勝ち、陰線なら負け」「下降パーフェクトオーダー中であれば、次足が陰線であれば勝ち、陽線なら負け」としています。
時間足 | 1日あたりの本数 | 3年分の本数 | 備考 |
---|---|---|---|
M1 | 1440 | 1,088,640 | 1日=24時間×60分 = 1440本。×252営業日×3年で算出。 |
M5 | 288 | 217,728 | 1日=24時間×12本(5分足) = 288本。×252日×3年。 |
M15 | 96 | 72,576 | 1時間に4本、1日24時間→96本。×252営業日×3年。 |
M30 | 48 | 36,288 | 1時間に2本、1日24時間→48本。×252日×3年で算出。 |
H1 | 24 | 18,144 | 1日24本(1時間足)。×252営業日×3年=18,144本。 |
D1 | 1 | 756 | 1営業日=1本。252営業日×3年 = 756本。 |
3年分の検証結果
判定時間 | 判定本数 | MA/期間 | 勝ち | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|---|
M1 | 1088640 | EMA/5/10/20 | 285400 | 333300 | 46.10% |
M5 | 217728 | EMA/5/10/20 | 60473 | 68810 | 47.50% |
M15 | 72576 | EMA/5/20/50 | 17077 | 17982 | 48.70% |
M30 | 36288 | EMA/5/20/50 | 10639 | 10900 | 49.20% |
H1 | 18144 | EMA/5/20/50 | 4508 | 4478 | 50.20% |
D1 | 756 | SMA/25/75/200 | 138 | 96 | 59% |
判定時間 | 判定本数 | MA/期間 | 勝ち | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|---|
M1 | 1088640 | EMA/5/10/20 | 264727 | 312954 | 45.80% |
M5 | 217728 | EMA/5/10/20 | 59056 | 66334 | 47.10% |
M15 | 72576 | EMA/5/20/50 | 20069 | 22263 | 47.40% |
M30 | 36288 | EMA/5/20/50 | 16124 | 17992 | 47.30% |
H1 | 18144 | EMA/5/20/50 | 4137 | 4451 | 48.20% |
D1 | 756 | SMA/25/75/200 | 76 | 96 | 44% |
判定時間 | 判定本数 | MA/期間 | 勝ち | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|---|
M1 | 1088640 | EMA/5/10/20 | 264463 | 314142 | 45.70% |
M5 | 217728 | EMA/5/10/20 | 59077 | 66037 | 47.20% |
M15 | 72576 | EMA/5/20/50 | 16462 | 17947 | 47.80% |
M30 | 36288 | EMA/5/20/50 | 8212 | 8987 | 47.70% |
H1 | 18144 | EMA/5/20/50 | 4173 | 4440 | 48.50% |
D1 | 756 | SMA/25/75/200 | 68 | 88 | 44% |
今回の検証で分かった事は、パーフェクトオーダーだからと言って順張りでエントリーしても次足の勝率は5割以下と言う事です。
押し目買いや、トレンドの転換期など順張り通りに行かない場面もあるのですが、5割を切るのは正直予想外でした。

パーフェクトオーダーの順張りで次足狙いは、検証結果からも分かる様に止めた方が良いでしょう。
今回の結果はあくまでも次の足を勝敗として見ているので、パーフェクトオーダー=勝率5割以下で負けると言う訳ではありません。
パーフェクトオーダーで重要な抵抗線
かなり重要
パーフェクトオーダーを設定する際に特に重要になるのが「移動平均線の期間」になります。移動平均線は世界中のトレーダーが利用しており、特定の期間が意識されやすくなっています。
- 5MA
- 20MA
- 50MA
- 75MA
- 100MA
- 200MA
意識されやすい移動平均線は「抵抗線」としても役割を果たしており、実際に「押し目買い」や「戻り売り」がよく行われています。
画像の場合「期間5」「期間20」「期間50」「EMA」のパーフェクトオーダーになるのですが、期間50や期間20付近で押し目買いをされているのが分かります。
その為、パーフェクトオーダーの期間を決める際は抵抗線が機能しているかが重要になります。
パーフェクトオーダーのお勧めの期間
パーフェクトオーダーのおすすめの期間は取引スタイル(取引時間)によって大きく異なります。
時間足 | M1~M5 |
---|---|
短期 | 5 |
中期 | 10 |
長期 | 20 |
MA種別 | EMA |
時間足 | M1~M5 |
---|---|
短期 | 5 |
中期 | 20 |
長期 | 50 |
MA種別 | SMAまたはEMA |
時間足 | M1~M5 |
---|---|
短期 | 25 |
中期 | 75 |
長期 | 200 |
MA種別 | SMAまたはEMA |
SMA | すべての過去データを均等に平均、動きは滑らかで反応は遅い |
---|---|
EMA | 直近のデータに重みをかけて平均、動きは敏感で反応が速い |
パーフェクトオーダーの期間は短いほど反応が早いのですが、短くする程ダマシが多くなります。また、パーフェクトオーダー自体も発生しずらくなるので、注意が必要です。
コチラの画像は、期間が「5/10/20」になります。
こちらの画像は期間が「5/20/50」になります。
こちらの画像は期間が「5/75/200」になります。
5分足を見ているのですが、期間「5/10/20」のパーフェクトオーダーは何度も崩れており、都度判断に迫られます。
一方期間が「5/20/50」の場合はゆとりを持って判断する事が出来ます。
短時間取引で期間を「5/75/200」まで上げてしまうと、反応が鈍すぎるのでパーフェクトオーダーの発生が遅れて取引チャンスを逃してしまいます。
パーフェクトオーダーの利確ポイントは
パーフェクトオーダーの利確ポイントは「短期移動平均線が長期移動平均線を抜けた」時が良いとされています。
ただし、短期移動平均線が長期移動平均線をしっかり抜けるまで待つと、利益が低くなりがちです。
状況にもよりますが、短期移動平均線が中期移動平均線をある程度抜けたら利確するのも一つの手だと言えます。
中期移動平均線は抵抗線としての役割があるので「反発してまだ上がる」「反発してまだ下がる」と信じたい気持ちも分かります。
例えば、画像の様な場合パーフェクトオーダーの最中に短期移動平均線が中期移動平均線を超えています。
結果的には長期移動平均線で付近で反発していますが、そのまま下降トレンドに移行する可能性もあったはずです。
この様に判断が難しい場面は取引を終え、反発したら再度購入する事も一つの手だと言えます。
初めの内はパーフェクトオーダーが崩れたら利確するぐらいで良いと思います。
ある程度利益が得られることが確定している場合は、短期移動平均線が長期移動平均線を抜けるまでしっかり待った方が良いでしょう。
それ以外にも、乖離にも注目しましょう。
画像は「5」「20」「50」のパーフェクトオーダーになるのですが、「20」と「50」の乖離が大きくなればなるほどトレンドが終了する可能性が高まります。
パーフェクトオーダーで勝つ為に必要な事
パーフェクトオーダーで勝つ為に必要なことは「強いトレンド」を狙う事です。
一番簡単な分かりやすいのはパーフェクトオーダーの「傾き」です。強いトレンドが発生している場合①の様に3本とも角度があり、かつ同じ方向を向いています。
また、パーフェクトオーダーは、RSIを組み合わせる事で今後の動きもある程度予測する事が出来ます。
RSIはその性質上、上昇トレンド中は70付近、下降トレンド中は30付近になります。
移動平均線だけでは一時的な上昇なのか下降なのか判断に迷うう事がありますが、②の様にRSIを確認する事で現在下降中である事分かります。
③では短期移動平均線が中期移動平均線を超えています。
パーフェクトオーダーだけの場合、このまま抜けるか反発するかは分かりません。
しかし④を見るとRSIが50付近でとどまっている事が分かります。
RSIはレンジ相場の時に50付近にとどまる性質があるので、下降トレンドが終わった可能性を示しています。
③の時点でRSIが30付近にいればまだ下降する可能性もありますが、画像の場合では50付近にとどまっているので、トレンドが終了した可能性があります。
その様な場合は③の時点で利確する事で利益を得る事が出来ます。
この様にパーフェクトオーダーだけでは無く他のインジケーターと組み合わせる事で、パーフェクトオーダーの精度を上げる事が出来ます。
パーフェクトオーダーはFX向き!バイナリー向きでは無い
パーフェクトオーダーは次の足で見た際の勝率はあまり良くありません。どちらかと言えばある程度の時間をかけて見るものになります。
国内バイナリーオプションの場合2時間の縛りがあります。2時間の内にパーフェクトオーダーが崩れた場合、途中売却も可能ですが利益がほんの僅かになります。
その様な事もありパーフェクトオーダーでの取引はバイナリーオプション向けとは言えないと個人的には思っています。
FXであれば好きな時に売却できるので、パーフェクトオーダーの動きに対して柔軟に対応する事が出来ます。
パーフェクトオーダーはMT5で!設定方法を紹介
MT5の移動平均線で!
無料で活用しよう
移動平均線はほぼ全てのFX業者のチャートで使用する事が出来ますが、チャートによっては見づらい事もあります。その様な場合はMT5の移動平均線を活用する事をおすすめします。
また、バイナリーオプションでは、業者によってテクニカル指標が使えないこともありますので、その様な場合はMT5の利用をおすすめします。
MT5は公式サイトから無料ダウンロードが可能です。
MT5をダウンロードしてインストール後、MT5を立ち上げます。
MT5の上部メニューより「挿入」⇒「インディケータ」⇒「Mpving Average」を選択します。
- Simple(単純移動平均線)
- Exponential(指数平滑移動平均線)
- Smoothed(平滑移動平均線)
- Linear Weighted(加重移動平均線)
ポップアップが表示されるので期間や種別を選択します。
期間や種別を選択後、「OK」ボタンをクリックすると移動平均線が表示されます。
移動平均線の線は一回の設定で1本しか引く事ができないので、パーフェクトオーダーを引く場合はこの作業を3回繰り返します。

パーフェクトオーダーの極みを無料配布
無料配布
今回の検証で使った「パーフェクトオーダーの極み」を無料で配布しています。
アラート機能もあるので、パーフェクトオーダーで取引する予定の方は「パーフェクトオーダーの極み」をご活用下さい。
構造がシンプルなので、あまり迷う事はありませんが、プロパティより移動平均線の期間や色を変える事ができます。
プロパティのインプットより移動平均線の期間や種類を選ぶ事が出来ます。
初期値は「短期5」「中期25」「長期50」「SMA(Simple)」になります。
プロパティのカラーより移動平均線の色やサインの色も変える事が出来ます。
※パーフェクトオーダーの極みはMT5専用のインジケーターになります。
FXやバイナリーのパーフェクトオーダー取引でよくある質問
パーフェクトオーダーが出たらすぐにエントリーしても良いですか?
パーフェクトオーダーはトレンドの発生を示すサインですが、すぐにエントリーすると押し目や戻りのタイミングに巻き込まれる可能性があります。移動平均線の傾きや抵抗線を確認し、押し目や戻りを狙う方が安全です。
パーフェクトオーダーの勝率はどれくらいありますか?
検証の結果、パーフェクトオーダー発生直後の次足に限定した勝率は45〜50%前後であり、単独では高い勝率は期待できません。相場状況や時間軸、他のテクニカル指標と組み合わせることで精度を高める必要があります。
バイナリーオプションでもパーフェクトオーダーは有効ですか?
バイナリーオプションでは取引時間が限られているため、パーフェクトオーダーの効果を十分に活かしにくい場面があります。短期決済が基本のバイナリーよりも、利確タイミングを柔軟に選べるFXの方が適している傾向にあります。