移動平均線の基礎、種類、サポート・レジスタンス、ゴールデンクロス・デッドクロス、3本使いの活用法まで、FX・バイナリーオプションの攻略に役立つ分析手法を徹底解説します。
項目 | 内容 |
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移動平均線の基礎 | 移動平均線の基本的な仕組みや役割を解説。 |
移動平均線の種類と特徴 | SMA・EMA・WMAの違いと、それぞれのメリット・デメリットを紹介。 |
移動平均線のサポート・レジスタンス機能 | なぜ価格が移動平均線で反発・抵抗するのかを解説。 |
ゴールデンクロスとデッドクロス | 上昇・下降トレンドの転換点としての活用法と注意点を紹介。 |
移動平均線の3本使いのメリットと活用法 | 3本の移動平均線を使うことで、より精度の高いトレードが可能に。 |
移動平均線大循環分析 | 6つのステージに分けて、相場の流れを分析する手法を解説。 |
移動平均線の期間設定 | 5日・20日・50日・200日など、目的別の最適な期間を提案。 |
200日移動平均線の活用方法 | 多くのトレーダーが参考にする200SMAの見方を解説。 |
移動平均線とグランビルの法則 | グランビルの8つの法則を活用し、エントリーのタイミングを見極める。 |
MT5で移動平均線を設定する方法 | MT5を使って移動平均線を表示し、カスタマイズする方法を紹介。 |
移動平均線とは
移動平均線(MA)は、一定期間の終値の平均値を計算し、チャート上に描くテクニカル指標になります。
価格の変動を滑らかにし、トレンドを把握するために用いられます。
移動平均線には以下の様な役割があります。
役割 | 説明 |
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トレンドの把握 | 価格が移動平均線の上にある場合は上昇トレンド、下にある場合は下降トレンドと判断できる。 |
サポート・レジスタンス | 価格が移動平均線に触れた際に、反発(サポート)や抵抗(レジスタンス)として機能することが多い。 |
売買シグナルの提供 | ゴールデンクロス(買いシグナル)やデッドクロス(売りシグナル)を示し、エントリー(買うタイミング)やエグジット(売るタイミング)の目安になる。 |
移動平均線を使うことで、市場のトレンドをより明確に把握することができます。
状況 | 移動平均線の位置関係 | 意味 |
---|---|---|
価格が移動平均線より上 | 過去の買い値より高くなっている | 買いが有利(上昇トレンド) |
価格が移動平均線より下 | 過去の買い値より低くなっている | 売りが有利(下降トレンド) |
移動平均線が上向き | 価格が上昇傾向にある | トレンド継続の可能性 |
移動平均線が下向き | 価格が下降傾向にある | 下降トレンドの可能性 |
例えば、価格が50日移動平均線の上にあり、さらに移動平均線自体が上向きなら、上昇トレンドが続いていると判断できます。一方、価格が移動平均線を下回り、線自体が下向きなら、下降トレンドが続いている可能性が高いです。
移動平均線の種類と特徴
移動移動平均線の種類
移動平均線は主に3種類があります。それぞれの特徴を理解し、トレードスタイルに合ったものを選ぶことが重要です。
- SMA(単純移動平均線)
- EMA(指数平滑移動平均線)
- WMA(加重移動平均線)
特徴 | 一定期間の終値の平均を計算 |
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メリット | ラインがスムーズで「だまし」が少ない |
デメリット | 値動きの変化に反応が遅い |
向いているトレード | 長期トレード、安定したトレンドの把握 |
主な期間設定 | 50SMA、100SMA、200SMA |
特徴 | 直近の終値を重視し、変化に素早く対応 |
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メリット | 急なトレンド変化にすぐ反応する |
デメリット | 「だまし」のサインが増える |
向いているトレード | 短期トレード、デイトレード、スキャルピング |
主な期間設定 | 9EMA、20EMA、50EMA |
特徴 | 直近の終値をより重視して計算 |
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メリット | 価格変動を敏感に捉えられる |
デメリット | 短期トレード向きでノイズが多い |
向いているトレード | 超短期トレード、スキャルピング |
主な期間設定 | 10WMA、20WMA、50WMA |
MT5で移動平均線を利用する場合は種別より移動平均線の種類を選ぶ事が出来ます。英語で書かれているので、間違えないようご注意下さい。
- Simple(単純移動平均線)
- Exponential(指数平滑移動平均線)
- Linear Weighted(加重移動平均線)
移動平均線の反応の違い
例えば、20日間の移動平均線を使った場合、価格が急変するとどのように反応するのか比較してみましょう。
指標 | SMA(20SMA) | EMA(20EMA) | WMA(20WMA) |
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価格の変化 | ゆるやかに変化 | なめらかに変化 | 変化を早く捉える |
急な値動き | 反応が遅れる | すぐに追従 | さらに早く追従 |
ノイズ | 少ない | 多め | 非常に多い |
移動平均線の種別選びは重要で、FXで長期トレードをされている方は「SMA」・FXのスキャルピングやバイナリーオプションの短期取引をされている方は「EMA」や「WMA」がおすすめとなっています。
- 長期のトレンド確認にはSMA
- 素早い判断をしたいならEMAやWMA
サポート・レジスタンスとしての移動平均線
投資家が見ている
移動平均線はトレンドだけでなく「下値支持線(サポート)」や「上値抵抗線(レジスタンス)」としても機能する場合があります。
なぜサポート・レジスタンスとして機能するのか
価格が移動平均線に近づくと、「このあたりで買いたい」「ここで売りたい」と考える投資家が増えます。そのため、価格がライン付近で反発したり、反転したりしやすくなります。
25日・75日・200日移動平均線など、中長期の移動平均線は、特に多くの投資家に注目されるため、サポート・レジスタンスとしての機能が強まる傾向があります。
サポート・レジスタンスの注意点
予想外の材料や急変動で、移動平均線をあっさり抜ける(または割り込む)場合もあるため、損切りルールなどリスク管理が大切です。
短期線(5日・10日など)は頻繁にサポートやレジスタンスが変化しやすく、ダマしも多くなりがちです。自分の投資スタイルに合った期間を選びましょう。
ゴールデンクロスとデッドクロス
デッドクロス
ゴールデンクロスとデッドクロスは、移動平均線を用いた代表的なトレードシグナルです。ゴールデンクロスは上昇トレンドの始まりを示し、買いのタイミングとして注目されます。
一方、デッドクロスは下降トレンドの始まりを示し、売りの判断材料となります。ただし、どちらもダマシの可能性があるため、トレンドの強さや出来高を併せて確認することが重要です。
ゴールデンクロスとは
ゴールデンクロスとは短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に抜けることで発生し、上昇トレンドの始まりを示します。
トレンドが強いときは、短期移動平均線に沿ったエントリーが成功しやすく、買いシグナルの精度も高まります。しかし、短期線の動きがゆるやかな場合は、相場の勢いが弱くダマシの可能性があるため注意が必要です。エントリーの際は、トレンドの強さをしっかり確認することが重要です。
デッドクロスとは
短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜けることで発生し、下降トレンドの始まりを示します。
デッドクロスは、下落のサインとなり、売りエントリーの目安になります。ただし、ゆっくりとクロスする場合はダマシの可能性が高いため、慎重に判断することが大切です。
ゴールデンクロスとデッドクロスを他の指標と組み合わせると効果的
ゴールデンクロスやデッドクロスのシグナルは、他のテクニカル指標と組み合わせることで、より精度の高いトレードが可能になります。
- MACD(後述するページで詳しく説明)
- RSI(買われすぎ・売られすぎを判断)
- ボリンジャーバンド(価格の変動幅を確認)
移動平均線の3本使いのメリットと活用法
移動平均線は、株式やFXなどのテクニカル分析において重要な指標です。一般的に2本の移動平均線を使う手法が多いですが、3本の移動平均線を使うことで、トレンドの判断がより正確になり、売買の精度を向上させることができます。
移動平均線の本数 | 特徴 |
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1本 | トレンドの大まかな方向性は分かるが、売買の判断が難しい。 |
2本(一般的) | 短期線と長期線のクロス(ゴールデンクロス・デッドクロス)を使って売買判断ができるが、ダマシが多い。 |
3本 | 並び順を見ることで、ダマシを減らしつつ、トレンドの強さを判断しやすくなる。 |
3本の移動平均線を使うと、価格変動の中で「買いが有利な局面(エッジ)」や「売りが有利な局面(エッジ)」をより正確に見つけることができます。
3本の移動平均線の並び順とエッジの見つけ方
3本線の方がおすすめ!
移動平均線は1本より2本、2本より3本にした方がより有利な局面(エッジ)を確認する事が出来ます。
買いのエッジ(買いが有利な状況)とは?
買いのエッジとは、価格が上昇しやすい有利なタイミングのことです。移動平均線の並び順を確認することで、買いのエッジがあるか判断できます。
移動平均線の並び順(上から順) | 意味 | トレード判断 |
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短期移動平均線(5日) | 最新の価格に敏感で、上昇傾向を示す | 買いのチャンス |
中期移動平均線(20日) | トレンドが安定して継続している | 上昇トレンド継続 |
長期移動平均線(40日) | 長期的に上昇基調で、強いトレンドを確認できる | トレンド相場 |
短期・中期・長期の移動平均線が順に並び、右肩上がりになっている場合、上昇トレンドが強いことを示します。この状況では買いの優位性が高まり、買いポジションを取るのに適した局面と判断できます。
売りのエッジ(売りが有利な状況)とは?
売りのエッジとは、価格が下落しやすい有利なタイミングのことです。移動平均線の並び順を確認することで、売りのエッジがあるか判断できます。
移動平均線の並び順(上から順) | 意味 | トレード判断 |
---|---|---|
短期移動平均線(5日) | 最新の価格に敏感で、下降傾向を示す | 売りのチャンス |
中期移動平均線(20日) | トレンドが安定して下落している | 下降トレンド継続 |
長期移動平均線(40日) | 長期的に下降基調で、強いトレンドを確認できる | トレンド相場 |
短期・中期・長期の移動平均線が順に並び、右肩下がりになっている場合、下降トレンドが強いことを示します。この状況では売りの優位性が高まり、売りポジションを取るのに適した局面と判断できます。
2本の移動平均線と3本の違い
移動平均線の2本使い(短期と長期)と、3本使う手法の違いを比較してみましょう。
比較項目 | 2本の移動平均線 | 3本の移動平均線 |
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トレンドの判断 | ゴールデンクロス・デッドクロスで判断 | 並び順とクロスの両方を考慮 |
騙しの少なさ | 揉み合い相場で騙しが多い | 騙しが減り、トレンドが明確に判断できる |
トレードの精度 | トレンドがあるときは有効 | トレンドがなくても判断しやすい |
例えば、移動平均線が2本だとデッドクロス(売りシグナル)が発生しても価格が下がらない「騙し」が発生することがあります。しかし、3本の移動平均線を使うと、揉み合い相場の騙しを減らすことができます。
3本の移動平均線の実際の活用例
移動平均線アは3本使うことで売買のチャンスが明確になります。
移動平均線大循環分析とは
大循環分析
移動平均線大循環分析は、3本の移動平均線の並び順を6つのステージに分類し、トレンドの流れを明確にする手法です。これにより、現在の相場が「買いが有利な局面」なのか「売りが有利な局面」なのかを判断しやすくなります。
移動平均線を3本使うことで、価格の動きをより詳細に分析し、トレンドの強さや方向性をより正確に把握できます。
移動平均線 | 役割 |
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短期移動平均線(5日) | 価格の変動に最も敏感で、直近のトレンドを示す。 |
中期移動平均線(20日) | 短期と長期の間に位置し、トレンドの安定性を示す。 |
長期移動平均線(40日) | 大きな流れを示し、長期的なトレンドを判断する基準。 |
3本の移動平均線の並び順によって、相場は6つのステージに分類されます。
ステージ | 移動平均線の並び順 | 特徴 |
---|---|---|
第1ステージ(買いが有利) | 短期 > 中期 > 長期 | 強い上昇トレンド |
第2ステージ | 中期 > 短期 > 長期 | 上昇トレンドが弱まりつつある |
第3ステージ | 中期 > 長期 > 短期 | 上昇トレンドの終盤 |
第4ステージ(売りが有利) | 長期 > 中期 > 短期 | 強い下降トレンド |
第5ステージ | 長期 > 短期 > 中期 | 下降トレンドが弱まりつつある |
第6ステージ | 短期 > 長期 > 中期 | 下降トレンドの終盤、次の上昇準備 |
相場は1 → 2 → 3 → 4 → 5 → 6 → 1…のように循環する傾向があり、この流れを把握することで次の動きを予測しやすくなります。
移動平均線の期間設定(どの期間を使うべき?)
期間設定
トレーダーの間でよく使われる移動平均線の期間設定を紹介します。
分類 | 主な期間設定 | 特徴 |
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超短期 | 5、10、13、15 | デイトレード・スキャルピング向き |
短期 | 20、21、24、25 | 短期トレンドの確認 |
中期 | 48、50、75、89 | 中期的なトレンドの判断 |
長期 | 100、123、150、200 | 大きな相場の流れを把握 |
長期的な相場を見るなら200日移動平均線(200SMA)が最も信頼されています。
200日移動平均線の活用方法
を活用しよう
200日移動平均線(200SMA)は、多くのトレーダーが相場の長期的な方向を判断する指標として活用しています。
状況 | トレード判断 |
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ローソク足が200SMAの上にある | 上昇トレンド → 買いのエントリーポイント |
ローソク足が200SMAの下にある | 下降トレンド → 売りのエントリーポイント |
200SMAは、多くのトレーダーが売買の判断基準として利用する重要な移動平均線です。価格が200SMA付近で停滞する場合、相場の転換点となる可能性が高まります。
特に、200SMAを上抜ける(または下抜ける)タイミングは、大きなトレンド転換のサインとなりやすく、売買のエントリーポイントとして注目されます。
FX・バイナリーを移動平均線&グランビルの法則で攻略
グランビルの法則とは、著名なアナリスト、ジョゼフ・E・グランビル氏が提唱した理論で、移動平均線の傾きや価格がその線に対してどの位置にあるかを基に、買い時や売り時を判断する手法です。
下記の表は、グランビルの法則で示される主な8つのエントリーポイントを整理したものです。各パターンは、価格と移動平均線の関係性をもとに、買いまたは売りのタイミングを示しています。
パターン | シグナル | 条件・特徴 |
---|---|---|
① | 買い | 上向きまたは横ばいの移動平均線を、価格が下から上抜けする |
② | 買い | 上向きの移動平均線を一度下抜け後、再上抜け |
③ | 買い | 移動平均線付近まで下落し、下抜けずに上昇 |
④ | 買い | 下向きの移動平均線下で価格が大きく乖離 |
⑤ | 売り | 上昇から横ばいや下向きの移動平均線を、価格が上から下抜ける |
⑥ | 売り | 下向きの移動平均線を一時的に上抜ける |
⑦ | 売り | 下向きの移動平均線近くで上昇後、上抜けずに再下落 |
⑧ | 売り | 上向きの移動平均線上で価格が大きく乖離 |
初心者は、価格が移動平均線を抜けた直後のシグナル(パターン①やパターン⑤)を狙うと、タイミングを見極めやすくなります。
FX取引では、200日移動平均線が信頼性高くおすすめです。多くのトレーダーがこの期間を使い、全体のトレンドを把握しています。
また、足チャートを利用すると市場全体の流れが分かりやすくなります。日エントリーは、グランビルの法則のパターン①(買いシグナル)とパターン⑤(売りシグナル)を狙うと、シンプルで初心者にも判断しやすくなります。
スキャルピングやバイナリーなど、短時間での取引では、200日移動平均線は反応が遅く、チャンスを逃す可能性があります。
そのため、5分足の場合は、20日程度に設定するのがおすすめです。また、グランビルの法則は、基本的に長期トレードで高い精度を発揮します。期間を短く設定すると、ダマしが多くなるので注意しましょう。
移動平均線をMT5で使ってみよう
移動平均線はほぼ全てのFX業者のチャートで使用する事が出来ますが、チャートによっては見づらい事もあります。その様な場合はMT5の移動平均線を活用する事をおすすめします。
バイナリーオプションでは、業者によってテクニカル指標が使えないこともありますので、そういった場合はMT5の利用をおすすめします。
MT5は公式サイトから無料ダウンロードが可能です。
MT5をダウンロードしてインストール後、MT5を立ち上げます。
MT5の上部メニューより「挿入」⇒「インディケータ」⇒「Mpving Average」を選択します。
- Simple(単純移動平均線)
- Exponential(指数平滑移動平均線)
- Smoothed(平滑移動平均線)
- Linear Weighted(加重移動平均線)
まずは種別より、移動平均線の種類を選びます。今回はExponential(指数平滑移動平均線)を選んでいます。
移動平均線の線は一回の設定で1本しか引く事ができないので、必要な本数に応じて作業を繰り返します。今回は移動平均線を2本引きます。
まずは短期移動平均線(期間:20日)を(スタイル:赤色)の線で引きます。
Exponential(指数平滑移動平均線)の20日移動平均線が赤色で表示されます。
次に、中期移動平均線(期間:40日)を(スタイル:青色)の線で引きます。
Exponential(指数平滑移動平均線)の20日移動平均線と40日移動平均線が表示されます。